科学の散歩道
現代物理学入門

素粒子物理学編
ニュートリノ

2002年のノーベル物理学賞で、ニュートリノが話題に上った。 ニュートリノを観測することが難しいのはなぜだろうか?  ニュートリノには、電気的に中性であること、弱い相互作用しかしないこと、そして、ほんのわずかだがゼロでない質量をもっているといった3つの特徴がある。

素粒子としてのニュートリノは、正にも負にも帯電することなく、電気的に常に中性である。 英語で中性を意味する「ニュートラル」にちなみ、イタリア語で小さなものを意味する「イーノ」を語尾にしてニュートリノと名付けられた。 ちなみに、原子核を構成する中性子のほうは、英語で「ニュートロン」と呼ばれている。

電気的に中性のものは、電場や磁場の影響を直接受けることがない。 電磁相互作用をしないニュートリノは、例えば泡箱のように電気的に粒子を検出する装置にはかからないし、あるいは磁場をかけて進路を曲げさせることもできない。 もちろん、電気的に引き合うこともないので、物質の一部として構成要素となることもない。

中性子の場合は、陽子との間で強い相互作用をするので、原子核という物質の一部を形成しているのだ。 「強い相互作用」とは、これでも立派な学術用語であって、現代物理学ではちゃんとした定義を与えているので注意してほしい。

「強い相互作用」がある一方で、「弱い相互作用」もある。 「弱い相互作用」というのは、例えば原子核のベータ崩壊を引き起こすようなときに現れるもので、その名の通り、相互作用としては非常に弱い。 歴史的には、ニュートリノが原子核のベータ崩壊を研究している過程で見つかった。 今では逆に、弱い相互作用を理解するためにニュートリノの性質が研究されている面がある。

「弱い相互作用」では、相互作用が起きる確率が非常に小さいことから、ニュートリノが他の物質と反応することはめったにない。 素粒子の世界では、重力の相互作用を無視して考えることができるから、その意味では、ニュートリノは弱い相互作用しかないと言える。


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