アインシュタインの有名な公式によると、質量とエネルギーは密接に結びついている。 質量をもつ粒子は、それと同等のエネルギーをもっているということができるし、逆に、エネルギーから素粒子が生まれると解釈することもできる。
しかし、それぞれの素粒子には固有の質量があって、ある種類の素粒子になろうとすれば、それに見合うだけのエネルギーを質量に変え、残りは運動エネルギーなど質量以外のエネルギーにしなければならない。 素粒子には、思うがままの質量を取ることができないという制約がある。
例えば、電子1個の質量は、0.5〔MeV〕のエネルギーに相当する。 〔MeV〕とは、素粒子物理学においてよく使われているエネルギーの単位で、「メガ・電子ボルト」あるいは単に「メブ」と読む。 したがって、エネルギーから電子ができるためには、1個あたり0.5〔MeV〕のエネルギーを必要とする。
電子と陽電子の対生成では、光子(ガンマ線)が(第三の粒子の媒介を通じて)電子と陽電子に化ける。 このとき、最低でも電子と陽電子の質量の和、すなわち1.0〔MeV〕のエネルギーが必要だ。 光子のエネルギーが1.0〔MeV〕以上なければ、電子と陽電子の対生成は起こり得ない。
